春の風はまだ冷たく、身体に入って悪さをしがち。
寝違い、筋違い、ぎっくり腰、関節痛など春ならではの症状の方が駆け込んでこられてます。ご自愛下さいね。日常の養生のご参考になれば幸いです。
スギナは、シダ植物の一種で、日本をはじめ世界各地に自生している野草です。「つくし」の後に生えてくる、細かい枝分かれをした緑色の部分がスギナです。古くから生薬「問荊(もんけい)」として利用され、「ミネラルの宝庫」と呼ばれるほど豊富な栄養素を含んでいます。
スギナには、以下のような様々な効果が期待されています。
★ カリウムが豊富に含まれており、体内の余分な水分や老廃物の排出を促進する強い利尿作用があります。これにより、むくみの改善や、腎臓の働きをサポートする効果が期待できます。
★血液を浄化し、血行を促進する働きもあるとされています。
★ カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、鉄、亜鉛など、人体に必要なミネラルを豊富に含んでいます。
★特に**ケイ素(シリカ)**が多く含まれており、これは骨や歯、爪、髪、血管の健康維持、コラーゲンの生成サポートに不可欠な成分です。美髪効果やアンチエイジング効果も期待されています。
★ タンニンや葉緑素の抗菌・抗炎症作用により、皮膚のかゆみや湿疹、アトピー性皮膚炎、ニキビ、あせもなどの皮膚トラブルの改善に役立つとされています。
★ 新陳代謝を高める作用や、抗酸化作用のあるビタミンCやE、サポニンなども含まれるため、肌のくすみや黒ずみの解消、シミの予防など、美肌効果も期待できます。
★鉄分と葉緑素が豊富で、造血作用を促進し、貧血の予防や改善に役立ちます。
★ 豊富なミネラルやビタミンが、免疫細胞の働きを強化し、免疫力の向上に貢献すると考えられています。
★ カルシウムなどが自律神経のバランスを整え、ストレス軽減やリラックス効果をもたらす可能性があります。
★ ドイツでは全身の代謝促進作用があることが知られています。
★ 一部ではがんや生活習慣病の予防にも良いとされています。
★ 去痰作用や、回虫駆除に用いられることもあります。
スギナの養生法(活用方法)
スギナは様々な形で利用できます。
★ 最も一般的な利用法です。採取したスギナを水洗いし、天日で乾燥させた後、お茶として煮出して飲みます。
★ 味は比較的あっさりしていて飲みやすく、カフェインを含まないので就寝前でも安心して飲めます。
★ 乾燥させたスギナ5g程度を急須に入れ、熱湯を注ぎ3~5分程度で淹れるのが一般的です。
★ 1日カップ1杯程度が目安とされ、長期にわたる大量摂取は避けるべきです。吸収の良い朝の食前に飲むのが良いとされています。
★ ツクシは食用として知られていますが、スギナの若葉も天ぷらやおひたしなどで食べられます。ただし、アクが強いため、十分に下処理が必要です。
★ スギナ風呂(浴湯料):乾燥させたスギナをガーゼなどで包み、浴槽に入れるか、一度煮出した液をお風呂に入れると、体を温め、かゆみや炎症を抑える入浴剤になります。湿疹やアトピー性皮膚炎の緩和にも良いとされます。
★ スギナチンキ・オイル:乾燥させたスギナを焼酎やホワイトリカーに漬け込んでチンキ剤にしたり、オイルに抽出したりして、化粧水やクリームとして利用できます。虫刺されのかゆみ止め、皮膚炎、乾燥肌の改善に役立つとされます。また、薄めて飲用することも可能です。
★ 湿布:生の葉の汁を皮膚炎や日焼けに塗ったり、乾燥した葉を湿布として患部に当てて痛みを和らげるために使用することもあります。
スギナは薬効がある一方で、いくつか注意すべき点があります。
スギナには、ビタミンB1を分解する酵素「チアミナーゼ」が含まれています。大量に生で摂取するとビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性がありますが、加熱処理(煮出す、乾燥させるなど)により、この成分はほとんど破壊されるため、スギナ茶や乾燥させたスギナの利用では問題ないとされています。
微量のアルカロイド毒素も含まれています。大量に摂取すると吐き気や腹痛を引き起こす可能性があるため、適量を守ることが重要です。
微量のニコチンが含まれているため、妊娠中の方や小さいお子様の摂取は避けるべきとされています。胎児への血流量が減少するおそれがあるため、注意が必要です。
ビタミンB1を破壊するチアミナーゼの影響で、肝機能が低下している方は悪影響が出る可能性もあるため、摂取前に医師に相談することが望ましいです。
食用や薬用として利用する場合は、新芽が伸びる春から初夏(5~7月頃)に、農薬や車の排気ガスなどで汚染されていない、きれいな場所で採取しましょう。採取後は水洗いし、すぐに天日乾燥させるのがおすすめです。
スギナは、非常に繁殖力が強い「雑草」として認識されることが多いですが、その薬効や栄養価の高さから、古くから健康維持に利用されてきた野草です。正しい知識を持って、適切に活用することで、その恩恵を受けることができるでしょう。