この内容は、一般社団法人倫理研究所の月刊誌『新生(しんせい)』(読者数10万部)に「治る力」をテーマに2ヶ月間寄稿した記事を、さらに加筆・編集を加えたものです。
私は、鍼灸マッサージ・高度整体治療院の三代目、山田晃三です。
現代医療や既存の健康法が限界を囁かれる中、なぜ私の治療院には、遠方から「片道3時間かけてでも通いたい」という患者様が集まるのか―――。
そこには、「1,000年先まで残したい」と願う【次世代の医療】、そして【文化レベルの医療】の創生という、私の揺るがない信念があります。
この壮大なテーマについて、数回に分けてご案内いたします。皆様の人生における良き転換点の一助となれば幸いです
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そもそも、病(やまい)とは一体何なのでしょうか?
なぜ私たちは病にかかり、そのたびに苦しめられるのでしょうか?
病には誰しも罹りたくないでしょう。
ほとんどの人にとって、病気は人生を妨げる「敵」として認識されています。
病にかかれば、現在の仕事や家庭環境、大切に築いてきた人間関係、そして何より慣れ親しんだ生活スタイルを継続することができなくなります。
病院通いや治療院への通院が日常となり、薬がどんどん増えていく。自分の貴重な時間も、大切なお金も多く消費してしまい、生活は一変することになります。特に、老いた両親や、これから巣立つ子、まだ幼い孫など、大切な家族のことを思うと、自分の病が彼らに与える影響や心配、その後の負担を想像するだけで心が締め付けられる思いをする人も少なくないのではないでしょうか。
そうイメージするだけでも、病に対する恐怖や嫌悪感は増すばかりです。そうであるからこそ、「病 = 敵」というよりも「病 = 不幸」として恐れる対象になっているのかもしれません。
しかし、その反面、病がもたらすのは負の部分ばかりではないかもしれません。
病を経験した方々の手記や、人生が好転した体験談を数多く紐解いていくと、逆説的な「プラスの恵み」を受け取った人が存在します。
病になったおかげで、今まで当たり前に健康でいられたことさえも、心からありがたく感じられるようになり、その後の人生が百八十度好転したというケースは少なくありません。
病は、もしかすると私たちが無意識に突き進んでいた道を強引に停止させる、「非常ブレーキ」のような役割を果たしているのかもしれません。 それまで見落としていた自身の無理や、誤っていた仕事や人生の考え方、そして生き方さえも、根本から見直す「きっかけ」を強制的に与えてくれている側面があると、あなたはどうお考えでしょうか。
では、「病=不幸」と捉えている常識的な考え方と、病を経験して逆に人生を充実させた方との間には、一体どのような「視点の差」があるのでしょうか?
それは、病気を人生の「障害物」と見なすか、それとも「自己変革のための機会」と捉えるか、という根本的な姿勢の違いにあるのかもしれません。
もし、今あなたが、病の症状だけに意識を向け、ただ治すことだけを望んでいる状態だとすれば、それは病気を自分の外側にある「敵」として認識しすぎている状態かもしれません。
症状が出たことによって生じる不安や焦り、苛立ちなどの感情が、本来の症状そのものよりも大きな塊となって、あなた自身を覆ってしまっているのではないでしょうか。私は、このような状態を「病に囚われる」という言葉で表現しています。
病がもし本当に、私たちに人生を見直す「きっかけ」を与えてくれる「非常ブレーキ」だとしたら、私たちはそのプラスの恵みをどう受け取れば良いのでしょうか?
人生を好転させた人たちは、病をただの災難や敵とは見なさず、「人生を好転させるためのヒント」として受け止めました。そして、自身の生き方や考え方を変えるエネルギーに変換する人こそが「病気を活かす」ことができるのです。
私たちは、病気を「敵」として戦うだけでなく、「活かす」という全く別の道を選ぶことができるのです。この視点の転換は、私たちの人生に新しい可能を開いてくれる鍵となるのではないでしょうか。この鍵を使って、あなたの人生をどのように変えていくのか――
次の章で具体的に掘り下げていきましょう。
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2. 第1章 そもそも病とは何なのか? 病は敵か、それとも…
次の記事> 3. 第2章 病はどこから来るのか? 「過去の選択」が生み出す結果
4. 第3章 人生のカーナビゲーション ~病の警告音に耳を澄ませる
5. 第4章-1 心の羅針盤を磨く ~意志力に頼らず「習慣」という名の仕組みを創る
6. 第4章-2「意志力」を介さず「湯呑み」の残量を知る最強の仕組み