この内容は、一般社団法人倫理研究所の月刊誌『新生(しんせい)』(読者数10万部)に「治る力」をテーマに2ヶ月間寄稿した記事を、さらに加筆・編集を加えたものです。
私は、鍼灸マッサージ・高度整体治療院の三代目、山田晃三です。
現代医療や既存の健康法が限界を囁かれる中、なぜ私の治療院には、遠方から「片道3時間かけてでも通いたい」という患者様が集まるのか―――。
そこには、「1,000年先まで残したい」と願う【次世代の医療】、そして【文化レベルの医療】の創生という、私の揺るがない信念があります。
この壮大なテーマについて、数回に分けてご案内いたします。皆様の人生における良き転換点の一助となれば幸いです。
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第1章から第3章にかけて、あなたは病を「敵」としてではなく、「自己変革の機会」として受け止める視点を手に入れました。病が送ってくれたメッセージを静かに受け止めた今、あなたの意識は内面へと向き、人生の羅針盤を磨く準備が整ったはずです。
しかし、ここで一つ、私たちを悩ませ続ける【根本的な問い】が立ちはだかるのにあなたはお気づきでしょうか。
「病と向き合い、生活態度を改めようと強い決意をしたはずなのに、なぜいつも、“あの時の強い誓い”は消えてしまうのだろう?」そして、再び体調を崩したとき、あなたはこう立ち尽くしていないでしょうか。
「せっかく病のメッセージを理解したはずなのに、また元に戻ってしまった…。あの時の『気づき』は、一体どこへ消えてしまったのだろうか? なぜ、このループから抜け出せないのか、もう…意味が…わからない…。」
そう、多くの人は、この貴重な「気づき」を手に入れた後も、なぜか同じ場所でつまずき、再び病という名の苦悩を繰り返してしまうのです。
その理由は、あなたが、あなたの未来の健康という重責を、あまりにも「頼りない相棒」に託してしまっているからです。
その相棒の名は「意志力」。
彼は、あなたがテレビで健康番組を見て「これだ!」と閃いた、あの胸が高鳴る瞬間だけは、隣で力強く頷いてくれるでしょう。あるいは、あなたが病のどん底から這い上がり「もう二度と繰り返さない!」と心に固く誓った、あの情熱的な瞬間だけは、彼は、隣で力強く頷いてくれるでしょう。
しかし、朝目覚めた途端、その彼はどうしているでしょう?
「あと5分…」という布団の誘惑が、そして「今日は雨だし」という小さな言い訳が、彼の首根っこを掴んでしまうのです。彼は、あなたを裏切ったのではなく、ただ「エネルギー切れ」になってしまっただけなのです。
意志力とは、まるで電池切れ寸前のスマートフォンのようなものであり、ここぞという時に頼りにしようとしても、あっけなく消えてしまう、最も非効率で、そして最も「当てにならないツール」なのです。
そして、あなたは、この裏切りに慣れすぎてしまっているのではないでしょうか?
あなたはまだ、「習慣」という名の誰にも裏切られない「最強の仕組み」の存在を知らないだけなのです。
この章では、「意志力」に依存する苦しい生き方をやめ、「習慣」という名の自動操縦システムを人生に組み込む方法を探ります。
あなたの決意を裏切るのは、意志力の不安定さだけではありません。多くの人が、健康管理において見落としている根本的な「仕組み」があります。それは、あなたの体調の変化が、目に見えない形で蓄積されているという事実です。
なぜ病気が再発するのか、その構造を理解することが、「習慣」という名の仕組みを創る第一歩です。
私たちの身体は、普段の生活を送っているだけで、絶えず負担をかけています。この疲れや身体への負担を、毎日少しずつ注がれる水に例えましょう。あなたの身体は、ちょうど「湯呑み」のようなものです。
この湯呑みが満タンになり、水が溢れ出した状態が〈肩こり〉〈腰痛〉〈頭痛〉などの痛みや身体の不調といった〈症状〉として身体に現れます。さらに溢れ続け、床に滴り広がった状態が、〈病気〉(氷山の一角)として表面化するのです。
しかし、ここで多くの人が犯す過ちは、溢れた水を雑巾で拭き取ることだけに終始してしまうことです 。治療を受けたり、薬を服用したりすれば、その時は良くなったように思うかもしれませんが 、湯呑みの中身(疲れや負担)が減っていなければ、再び溢れて(再発して)しまうのです 。
さらに恐ろしいのは、この湯呑みから水が溢れる現象を何度も繰り返すと、あなたの「感覚」がマヒしてしまうことです 。
五十一歳女性 デザイナー(仮名Eさん)
知人に紹介され来院したEさんは極度な肩こりに悩まされていました。来院当初はこりが酷くなると、吐き気や頭痛が起き、常備している鎮痛剤も効かない状態でした。
治療を行なうと「とても楽になりました」と喜ばれて帰りますが、一カ月もしないうちに「また酷くなりました」と来院するのです。
私は「痛みが出た時だけの一時的な治療では改善しません。続けて治療をしないと根本的な解決に繋がりませんよ」と何度も話しました。ですがEさんはその度に「仕事が忙しいんです」と言い、痛みが酷くならないと来院しません。
ある日のこと、〈最近、来ていないな〉と案じていた時、一年ぶりにEさんから電話がかかってきました。
受話器からは「先生、本当に通えなくなりました」と沈んだ声。続いて「私、乳がんになってしまいました・・・・・・」と話されました。まだ若かった私には返す言葉が見つからず、ただ「そうでしたか・・・・・・」と聞き入れるだけで精一杯でした。それ以来、Eさんからの連絡は途絶えたままです。
Eさんのように、一時的に症状が無くなったとしても、それは溢れるのが一時的に止まったに過ぎないのです 。症状の寛解・再発を何度も繰り返せば感覚がマヒして、身体の不調や現われている症状が感じ取れなくなってきます 。この状況を私は『脳の一般化』と呼んでいます 。
人や動物は皆、同じ刺激を与え続けると、脳はそれが“常にあるもの”と認識し、リアルタイムで感じ取れなくなります 。これは情報過多で脳がパニックを起こさないための「自動脳保護装置」とも言える有難い機能の一つですが、Eさんのように重大な病気を引き起こしてしまう一面もあります 。
湯呑みの中身が「満タン」になっていることに気づけない。この感覚の麻痺こそが、意志力頼みの決意を何度も無効化し、再発のループを生み出す最大の原因となっているのです。
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1. 序章「また痛くなりました」三代目治療家が陥った『治せない』迷路
2. 第1章 そもそも病とは何なのか? 病は敵か、それとも…
3. 第2章 病はどこから来るのか? 「過去の選択」が生み出す結果
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